「自由の女神はなぜ作られたの?」
「自由の女神が持つ象徴的意味は?」
「自由の女神はなぜ世界遺産に登録されたの?」
こうした疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、自由の女神が作られた理由、自由の女神が持つ象徴としての意味、自由の女神が世界遺産に登録された理由を解説します。
1. 自由の女神が作られた理由は、米独立100周年を記念するため
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アメリカ合衆国ニューヨーク州のリバティ島にある自由の女神。
この像は、圧政からの自由と民主主義の象徴として、ニューヨークのシンボルとされています。
この女神像は、正式名称を「Liberty Enlightening the World」(世界を照らす自由)といいます。
アメリカ独立戦争時、その独立を支援したフランスとの友好関係の証として、1876年のアメリカ独立100周年を記念し、1886年にフランスから寄贈されました。
女神像は、南北戦争により政治的・経済的に大きな痛手を負っていた19世紀半ばのアメリカに希望を与えるものとなりました。
制作にあたっては、フランスの彫刻家フレデリク・バルトルディが制作の指揮をとり、エッフェル塔の制作で知られる技師ギュスターヴ・エッフェルが像の強度を増す設計を提案しました。
この女神像は、制作当時の最先端の技術の結集であり、台座部分を加えると高さが約93メートル、総重量は225トンになります。
右手には自由を象徴するたいまつを掲げ、左手にはアメリカ合衆国の独立記念日である1776年7月4日と刻印された「独立宣言書」を持っています。
左足で踏みつけているのは引きちぎられた鎖と足枷であり、これはすべての圧政からの解放と自由・平等を象徴しています。
女神の頭上にある冠には7つの突起があり、この突起は自由が7つの大陸と海に広がっていくという意味を持っています。
2. 移民にとっての象徴の意味も
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自由の女神のあるリバティ島は、ニューヨーク港の入り口にあります。
よって、移民たちが最初に目にするアメリカは、自由の女神像だったとも言えます。
そのため、女神像は、移民たちにって新しい人生の象徴として重要な意味を持つことになり、移民を迎え入れる寛容の象徴としても機能するようになっていきました。
こうした自由の女神の持つ意味は、有名な映画等でシンボリックに使われることで、広く人口に膾炙していきました。
例えば、フランシス・フォード・コッポラ監督の映画「ゴッドファーザーpartⅡ」では、イタリアからアメリカへ移民としてやってきた主人公の心情に重ねるように、自由の女神が映し出されるシーンがあります。
主人公の自由と希望に満ちた新しい生活を象徴するアイテムとして、自由の女神が使われたものであり、自由の女神の持つ象徴的意味を広く世に知らしめた例の一つです。
3. 普遍的価値が認められ世界遺産登録へ
(1)世界遺産登録の要因
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このように、自由の女神像は、自由・民主主義・平等という普遍的な価値についてシンボリックな意味を持ち、その意味は映画やポスター、書籍や絵画など様々なメディアを通じて国際的に認知されてきました。
また、自由の女神像は、19世紀の建築技術の進歩を象徴するモニュメントでもありました。
こうした象徴的役割と19世紀の建築技術の進歩を示す点が評価され、自由の女神像は1984年に世界文化遺産に登録されました。
(2)世界遺産登録の具体的な2つの基準
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世界遺産に登録されるためには、「登録基準」と呼ばれる要件を満たす必要があります。
では、自由の女神は、具体的にどのような登録基準を満たすと評価されたのでしょうか。
世界文化遺産の場合、登録基準として6項目が存在します。
自由の女神像は、この6項目の登録基準のうち(i)「人類の創造的資質を示す傑作であること」及び(iv)「人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本」を満たすと評価されました。
(a)人類の創造的資質を示す傑作であること
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(i)「人類の創造的資質を示す傑作」とは、簡単に言えば、「人類の才能を示す傑作であり素晴らしい作品」ということになります。
この基準を満たすか否かは、作品がその時代や文化の背景を超え、後世にまで影響を与えるような独自性や普遍性を持つか否かを考慮して決定されます。
上記のように、自由の女神像は、自由・民主主義・平等といった現代の重要かつ普遍的な価値について象徴する機能を持っており、後世にまで影響を与えるような普遍性を持つ像として世界に知られています。
なお、自由の女神以外に(i)の基準が認められている外国の世界遺産には、モン・サン・ミシェル(フランス)、アンコール遺跡(カンボジア)、ヴェルサイユ宮殿(フランス)、ウェストミンスター宮殿(イギリス)などがあります。
また、(i)の基準が認められている日本の世界遺産には、姫路城(兵庫県)、厳島神社(広島県)、法隆寺(奈良県)などがあります。
(b)その時代や文明を象徴するような、特に優れた建物・技術・景観
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一方、(iv)「人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本」とは、簡単に言えば、「その時代や文明を象徴するような、特に優れた建物・技術・景観」ということになります。
この基準を満たすか否かは、その文化や技術が、その後の歴史に与えた影響の程度などを考慮して決定されます。
従来、建築材料の主要なものといえば石やレンガでしたが、設計者であるエッフェルは、鉄骨フレーム技術を採用し、建物をより高く、より軽く、かつ強固にすることを可能にしました。
このエッフェルの技術革新により、彫刻の外観を支えながらも、同時に風や地震などの自然要因に対しても強度を保てる設計が実現され、後世の建築に大きな影響を及ぼしました。
なお、自由の女神以外に(iv)の基準が認められている外国の世界遺産には、サグラダファミリア(スペイン)、ケルン大聖堂(ドイツ)、リドー運河(カナダ)、シンガポール植物園(シンガポール)、アイアンブリッジ峡谷(イギリス)などがあります。
また、(iv)の基準が認められている日本の世界遺産には、富岡製糸場(群馬県)、姫路城(兵庫県)などがあります。
4. まとめ
- 自由の女神が作られた理由は、アメリカ独立100周年を記念し、友好関係の証としてフランスがアメリカへ寄贈するため。
- 自由の女神が持つ象徴的意味は、圧政からの自由・平等・民主主義及び移民に対する寛容がある。
- 自由の女神が世界遺産に登録された理由は、次の2つ。「人類の創造的資質を示す傑作であること」及び「その時代や文明を象徴するような特に優れた建物・技術・景観であること」。
